【ロサンゼルス15日=石井一夫】小学館発行の週刊誌「週刊ポスト」の記事に抗議しているユダヤ人人権擁護団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター」(本部・米ロサンゼルス)が、同誌に広告を掲載している日米の企業十社に対し、広告掲載の中止を要請していることが十五日、明らかになった。同センターは四年前、文芸春秋の月刊誌「マルコポーロ」を廃刊に追い込んでいるが、「今回も日本政府やイスラエル政府への働きかけを計画している」という。
同センター副所長のアブラハム・クーパー師によると、広告掲載の中止を要請した企業は、松下電器産業、トヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業、マツダ、サントリー、キリンビール、住友商事の各米国現地法人計八社と、マスターカード、フィリップ・モリスの米企業二社。十四日いっせいに手紙やファクスを送ったという。
同センターが問題にしているのは、週刊ポスト十月十五日号の「長銀『われらが血税5兆円』を食うユダヤ資本人脈ついに掴(つか)んだ」と題する記事。
クーパー師は各社に送った文書の中で、「『長銀買収の裏にユダヤ金融資本の陰謀があった』というもの」と要約し、「こうした反ユダヤ主義の虚報は、ホロコースト(ユダヤ人の大虐殺)を正当化するためにヒトラーによって使われた」と記している。
また、各社の広告掲載実態を指摘したうえ「週刊ポストをサポートすることは、同誌の芳しくない記事に貴社を関係させることになる」としている。
読売新聞社の取材に対し、同師は「広告掲載企業を通じて週刊ポストに圧力をかけてもらう」と話している。
同センターは週刊ポストに対しても、記事の撤回と謝罪を求める文書を送っているが、ポスト関係者によると、同誌は、「記事に関する問題点を具体的に指摘するよう求める回答書」を十一日付で送付したという。これについてクーパー師は「誠実な回答とは思えない」と話している。
同センターは、世界的に最大規模の人権擁護団体で、会員は米国内だけでも四十万人を数える。一九九五年に「マルコポーロ」誌がホロコーストの歴史的な存在を否定する記事を掲載した時にも、これに抗議のうえ、各企業に文芸春秋の雑誌などへの広告掲載中止を要請。各企業が次々とこれに応じ、同社は同誌を廃刊にし、社長が辞任する事態となった。
週刊ポストの坂本隆・編集長の話「センターからの抗議に対しては、すでに文書で誠意ある回答をしている。広告に関することについては、事実関係がわからないのでコメントを控えたい」
【ロサンゼルス19日共同】小学館発行の「週刊ポスト」誌(十月十五日号)の記事が、反ユダヤ主義をあおるものだと抗議している反ユダヤ活動の国際監視団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター」(本部・米ロサンゼルス)は十九日までに、同誌に広告を掲載している日米の大手十社に対し、広告掲載を中止するよう要請する手紙などを送った。
同センター副所長のアブラハム・クーパー師によると、企業は松下電器産業、トヨタ自動車など日本企業八社の米国現地法人とマスターカードなど米企業の二社に広告掲載中止を要請した。要請書の中で「広告掲載は週刊ポストの問題のある記事に、貴社が支持を示唆したことになる」としている。
週刊ポストの坂本隆・編集長は「誠意ある対応をすべく、現在、代理人を通じて同センター側と折衝中」と話している。クーパー師は来週、ロサンゼルスで同誌の責任者と協議するという。
【ロサンゼルス20日=石井一夫】「週刊ポスト」(小学館)の記事にユダヤ人人権団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター」が抗議している問題で、同誌は来週後半、坂本隆編集長と同社の取締役を同センターの米国ロサンゼルスの本部に派遣、記事の内容について遺憾の意を表すとともに、訂正記事の掲載方法について協議することになった。ポスト側代理人が、十九日に電話で同センター副所長のアブラハム・クーパー師に伝えた。
クーパー師は読売新聞の取材に対し、「我々が求めているのは、読者が問題の記事の誤りに気付くような、明確な撤回と謝罪」とし、「前向きの解決が図られる可能性がある」と話している。また、坂本編集長は「センター側の抗議内容を正しく認識し、反省すべき点については謝罪する準備がある」としている。
問題になったのは、同誌十月十五日号に掲載された「長銀『われらが血税5兆円』を食うユダヤ資本人脈ついに掴(つか)んだ」と題する記事。センター側は「見出しを裏付ける具体的事実がまったく記されておらず、ヒトラーのホロコースト(ユダヤ人大虐殺)を正当化した反ユダヤ主義の論理にも等しい虚報」と主張し、同誌に広告を掲載している日米の大企業十社に、広告掲載の中止を要請している。
(10月21日3:30 読売新聞)